「Microsoft Print to PDF」仮想プリンターは有益か
Windows 10は「Microsoft Print to PDF」という仮想プリンターを備え、これまで以上にPDFファイルの作成が容易になった。しかし、普段からPDFファイルを扱ってきたPC環境ならば、既に使い慣れているPDF作成アプリケーションや仮想プリンターがあるはず。今回はMicrosoft Print to PDFの優位性を考えてみたい。
標準で組み込まれる「Microsoft Print to PDF」とは
Windows 10の新規環境では、自動的に「Microsoft Print to PDF」や「Microsoft XPS Document Writer」などの仮想プリンターが組み込まれる。仮想プリンターとは、本来は物理的なプリンターに送る印刷データを受け取り、何らかのファイルとして出力する機能を持つ。「Microsoft Print to PDF」はPDF(Portable Document Format)ファイル、「Microsoft XPS Document Writer」はXPS(XML Paper Specification)ファイルを出力する仮想プリンターだ。
もともとXPSは、MicrosoftがWindows Vista時代から推進してきたページ記述言語だが、Windows 10はPDFも標準サポートしている。また、PDFファイルはMicrosoft Edgeに関連付けられているため、作成後もそのまま閲覧することが可能だ。
先述のとおり、以前からPDFファイルの作成を業務などで行ってきたユーザーであれば、既に独自のPDF作成アプリケーションや仮想プリンターを使っているケースが多い。これまで使っていた仮想プリンターを選択すべきか、Microsoft製の仮想プリンターを選択すべきか、迷うこともあるだろう。
どちらの仮想プリンターがお得?
下図はMicrosoft Edgeで同じWebページを、「Adobe Acrobat DC」の仮想プリンター(Adobe PDF)とMicrosoft Print to PDFでPDF化し、Adobe Acrobat DCでプロパティ情報を確認したものだ。あくまでデフォルト設定ではあるが、こうして並べるとPDFのバージョンやファイルサイズ、ページサイズなど異なる点が多い。
まず、PDFのバージョンはAdobe版が1.5、Microsoft版が1.7となっている。一見するとISO 32000-1:2008として国際標準化されたバージョン1.7の方が正しいように見えるが、互換性とセキュリティのバランスを考えるとバージョン1.5程度がちょうどいい。
次に気になるのは縦横サイズだ。いずれもA4サイズを指定しているが、Microsoft版は横サイズが209.8mmと、A4サイズ短辺の210mmから0.2mmほど小さくなるようだ。余白や拡大/縮小といった設定を変更してみたが、結果は同じだった。
また、ファイルサイズと「Web表示最適化」の有無も気になる。後者はLinearized(リニアライズド)PDFというデータの再構成を経て、PDFファイルを作成するというものだ。具体的には、ダウンロード時にページ単位のダウンロードを可能にするByteserving(バイトサービング)を有効にするため、手元に保存する用途でPDFファイルを作成する場合、必ずしも必要とは限らない。
ページ数的に少ないながらも、ファイルサイズが約2倍になるMicrosoft版は少々厳しい。だが、その内容を見比べてみると、Microsoft版の有益な面も見えてくる。
上図のように記事後半ページの再現性はAdobe版よりもMicrosoft版の方が高いのだ。もちろんWebページをPDFファイルとして保存する場合は不要な部分となるため、あまり重要とは言えない。だが、複数の仮想プリンターを持つ環境では、Microsoft Print to PDFを利用する意義もあることが確認できた。
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